当院では、人命の尊重と患者さんの意思の尊重という観点から適切な医療が行われることを目的として、以下の指針を規定する。
信仰上の理由から輸血を拒否する権利は、人格権を構成する信教の自由に基づく権利であることを理解し尊重するとしたうえで、当院は「その権利は自己の生命を喪失させる結果となる選択までをも含むものではない」と判断する。
以上に鑑み、当院は「救命のために必要とあれば輸血を行う主義」を選択し、輸血を拒否する患者さんに対する指針を以下の通り規定するものとする。
当病院の医療従事者は、患者と医療従事者の相互理解に基づいて、患者自身が求める最善の終末期医療が行われるよう努力しなければならない。
「終末期」とは、妥当な医療の継続にもかかわらず、死が間近に迫っている状況を指す。その判断は、主治医と主治医以外の複数の医師により、客観的になされる必要がある。
「終末期医療」とは、終末期に行われる医療の総称で、本来の病気に対する医療や苦痛緩和のための医療あるいは生命の維持のための医療等が含まれる。具体的には薬物投与、化学療法、人工透析、人工換気、輸血、酸素吸入、栄養・水分補給などを指す。
「一人で決めない」「1回で決めない」「記録を残す」ことを基本とする。
主治医、看護師、医療相談員等の医療従事者と、患者本人および家族が十分に話し合って治療内容と方法を選択、確認する。終末期の患者が最も望むことは苦痛の緩和であり、そのために最大限の努力をする。
患者が終末期の状態にあって、延命措置を望まない場合には、その意思を尊重して治療を行う。
延命措置を望まない意思の表示とは、終末期にある意思決定能力のある患者が、何らかの方法によって申し出ることをいい、この意思決定権は他の者が代行できない。18歳未満の患者は、意思決定能力がない者として対象から除外する。ただし、死が避けられない末期患者で、明確な意思表示が存在しない場合には、患者の意思の推定(推定的意思)によることができる。
直接に患者の生命を終わらせる医療行為を当院では行わない。
いずれの場合においても判断に迷う場合には、院内倫理委員会に審議を申請することが勧められる。
延命措置を望まない申し出があった場合、上記に沿って十分な意思確認を行い、患者・家族には別紙に必要事項を記入してもらい、主治医はこれをカルテに保存する。