臨床検査は古くから問診・視診・触診・打診などの経験の積み重ねによる医師の主観で判断されていた医療に、科学的な数値に基づく客観的な裏付けを与えてきました。現在では臨床検査はEBM(evidence-based medicine)、すなわち根拠に基づいた医療を行うための基本となっており、数多くの客観的医療情報が臨床検査から得られるようになっています。
業務は大きく検体検査と生理機能検査に分かれ、当臨床検査科の検体検査は一般検査、血液検査、生化学・免疫検査、輸血検査、細菌検査があり、生理機能検査には心電図、呼吸機能、超音波検査、脳波などがあります。加えて、中央採血室での採血業務や咽頭拭い液採取などに取り組みチーム医療に参画しています。
おもに尿検査(尿定性・沈渣・尿生化学)や便潜血検査を行います。その他には体腔液(胸水・腹水)、脳脊髄液などの穿刺液、迅速感染症、精液、寄生虫などの検査を行っています。
血算、血液像、凝固・線溶検査を行っています。
血液中の成分であるタンパク質(アルブミン、CRP、総蛋白など)、酵素(AST、ALT、LDHなど)、脂質(総コレステロール、中性脂肪など)、糖質(血糖、HbA1cなど)等を測定して、お体がどのような状態にあるのかを調べます。結果を報告するまでの時間は約30分ですがホルモン値や腫瘍マーカーなどは約50分かかります。診察前に検査結果を届けられるように努めています。
血液型検査や不規則抗体のスクリーニングには細心の注意を払い検査精度の維持に努めています。電子カルテの輸血システムを使用して輸血製剤や患者さんの輸血情報を管理し、手術の際に使用する自己血も血液製剤と同様に安全に保管しています。
血液製剤の使用状況を輸血療法委員会に報告して安全で適正な輸血療法の推進に努めています。
感染症の診断のため、喀痰・上咽頭・血液・尿・便などの材料をもとに細菌検査を実施します。
また、菌株の同定や適切な抗菌薬を決めるために細菌同定感受性システムを使用して正確な結果を報告しています。
感染対策チーム(ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)に参加し、院内の感染防止が円滑に機能し、抗生剤の適正使用と効果的な治療につながるよう、日々業務に取り組んでいます。
生理検査は患者さんに直接触れて行う検査が多く、患者さんの症状や体調をお伺いしながら検査を実施するようにいたしております。患者さんとのコミュケーションも大切な仕事であると考えております。
生理検査で行う検査は循環器分野、呼吸器分野、脳神経分野、超音波検査に分かれます。
循環器分野の検査には心電図、ホルター心電図、24時間血圧測定、脈波伝搬速度検査、心臓超音波検査を実施しており、日本超音波医学会認定の超音波検査士が検査を担当しております。
呼吸器分野の検査では呼吸機能検査を行い、喘息、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD,いわゆるタバコ病)の発見や治療経過を検査させていただいております。6分間歩行検査や終夜酸素飽和度測定検査を実施して、呼吸疾患の患者さんの診療補助に努めております。
脳神経分野の検査では脳波検査、神経伝導検査、頸動脈超音波検査を実施しております。
超音波検査では腹部超音波検査、甲状腺超音波検査、下肢動脈、静脈超音波検査を実施しております。
睡眠時無呼吸症候群の検査は寝ている間の呼吸状態を調べるために病院に一泊しておこないます。
睡眠時無呼吸症候群の診断と治療に不可欠な終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)を行っています。多くのセンサーを取り付けて、お休みいただき、寝ている間の呼吸状態、睡眠の質を調べます。
昼間の眠気やご家族から「イビキ」を指摘され調べてみようかとお考えの方は、一度、呼吸器内科へご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の診断と治療に不可欠な終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)を行っています。
昼間の眠気や睡眠時のいびきなどでお困りの方は、一度呼吸器内科を受診してください。
検査技師は全員が一般社団法人日本臨床衛生検査技師会に入会しており、卒後教育、生涯教育に努めております。
さらに、各種専門学会より知識、技術の認定を得た技師が検査に携わっております。これからも診療に貢献できるように、スタッフ一同、研鑽に励みます。
認定資格名 | 認定学会名 | 人数 |
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超音波検査士(循環器領域) | 日本超音波医学会 | 2名 |
JHRS 認定心電図専門士 | 日本不整脈心電学会 | 2名 |
認定心電検査技師 | 日本臨床衛生検査技師会 | 2名 |
日本糖尿病療養指導士 | 日本糖尿病療養指導士認定機構 | 1名 |
心臓超音波検査 日本超音波検査学会精度認定施設