更新日:2021年04月01日
食生活の欧米化、ヘリコバクター・ピロリ菌感染率の低下、高齢人口の増大などにより過去20年ほどの間で急増してきており今後もこの傾向は続くものと考えられます。良性疾患ではありますが、胸やけや胃液がこみ上げてくる症状、時には胸痛や背部痛などといった非特異的な部位に痛みを生じ日常生活に大きく影響することもあります。また喘息や肺気腫を合併されている方は呼吸器症状増悪の原因にもなります。当院では内視鏡検査などを含め、適宜治療を行っています。
肝硬変などの合併症の一つであり、内視鏡検査によるチェックと適切な治療介入が必要です。静脈瘤破裂の危険があると判断され治療が必要な場合は入院で内視鏡的静脈瘤結紮術や硬化療法を行っています。
食道がん/悪性食道狭窄による通過障害に対する治療方法のひとつです。根治的(または姑息的)放射線治療や放射線化学療法、根治的手術なども治療の選択枝となりますが、全身状態、年齢、併存疾患の状態なども考慮し、侵襲の強い根治的な治療が困難な場合に行なっています。
最近では検査方法の進歩により早期のうちに見つかる食道がんが多くなってきました。食道がんの治療方法には「内視鏡治療」「外科手術」「胸腔鏡下手術」「放射線治療」「化学療法(抗がん剤)」「放射線化学療法」があります。その中でもリンパ節に転移している可能性が極めて低い、早期食道がんに対してはからだを切らずに内視鏡でがんを含む粘膜病変部だけを切り取る「内視鏡的治療」が用いられます。「内視鏡的治療」は外科手術に比べ、からだに傷がつかず、食道の機能が保てる上に入院日数も短期間で退院できます。当院では食道ESDに関して独自のクリニカルパスを作成し使用しています。
内視鏡検査を行なった時に出血を認めた場合は止血術も随時行なっています。止血術を行なった場合は原則入院による加療が必要となります。止血術後の治療に関しては独自のクリニカルパスを作成し使用しています。
心臓疾患や脳疾患の治療のため、血液をサラサラにするお薬を内服される方が増えていますので、良性のポリープでも貧血や出血源となり得るポリープを認めることがあります。症例に応じて内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行っています。
最近では検査方法の進歩により早期のうちに見つかる胃がんが多くなってきました。胃がんの治療方法には「内視鏡治療」「外科手術」「腹腔鏡下手術」「化学療法(抗がん剤)」があります。その中でもリンパ節に転移している可能性が極めて低い、早期胃がんに対してはおなかを切らずに内視鏡でがんを含む粘膜病変部だけを切り取る「内視鏡的治療」が用いられます。「内視鏡的治療」は外科手術に比べ、おなかに傷がつかず、胃の機能が保てる上に入院日数も短期間で退院できます。
当院では胃ESDに関して独自のクリニカルパスを作成し使用しています。
消化器内科では主に切除不能進行・再発胃癌に対する化学療法を行っています。
これまで(胃がん・膵がん・大腸がん・その他の悪性腫瘍)などによる胃・十二指腸の消化管狭窄による通過障害が悪化し食事摂取が困難となった場合、根治的手術ができない場合は姑息的にバイパス手術を行なってきました。2010年4月に保険適用となり、当院でも緩和を目的とした手術を回避し内視鏡による治療を積極的に行っています。
胃粘膜下腫瘍に関しては超音波内視鏡下吸引下生検および吸引細胞診 (EUS-FNB or EUS-FNA)を行なっています。超音波内視鏡を用いて病変部分を観察し可能であれば病変に針を刺して吸引し細胞を採取します。細胞診および病理組織検体を得る検査です。得られた検体を顕微鏡にて観察し確定診断となります。
当院ではEUS-FNAに関して独自のクリニカルパスを作成し使用しています。
慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ陽性胃炎)について、2013年2月より保険適応での除菌治療が可能となりました。除菌治療を行うことで胃がんになるリスクを減らすことが可能となり当院でも積極的に除菌治療を行っております。
機能性ディスペプシアとは、胃の痛みや胃もたれなどのさまざまな症状が慢性的に続いているにもかかわらず、内視鏡検査などを行っても、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんなどのような異常がみつからない病気です。生命にかかわる病気ではありませんが、つらい症状により、患者さんの生活の質を大きく低下させてしまう病気です。最近新たな治療薬も登場してきておりますので症状があってお困りの方はご相談下さい。
アニサキスとは、寄生虫の仲間で多くは魚介類の内臓部分に寄生しています。半透明白色で体長2~3cmの細長い形をしています。ヒトには主にサバ、サケ、アジ、イカ、タラなどの魚介類から感染し、アニサキスがお腹の中で胃や腸に突き刺さることがあり、アニサキス症という激しい腹痛(特に食後数時間のうちに始まる激しい腹痛と嘔吐)を起こすことがあります。内視鏡検査で虫体が確認されれば鉗子で除去することで症状は改善されます。
当院では主に大腸ポリープ(大腸腺腫)・早期大腸がんに対しての内視鏡的治療を積極的に行なっております。 病変部にスネアをかけて高周波電流で切除する内視鏡的ポリペクトミーは茎のあるタイプのポリープに対して主に行なわれます。また、茎のないタイプのポリープに対しては病変の粘膜下に生理食塩水などを注入し、高周波電流で切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)で治療を行なっております。
当院では基本的に日帰りでのポリープ切除を行なっていますが、あらかじめ大きさが2cmを超えるものと分かっている場合や年齢や併存疾患によっては、担当医と相談の上で入院での切除となる場合もあります。
当院では入院で大腸ポリープ切除を行なう場合に関して独自のクリニカルパスを作成し使用しています。
2cm以上の大きな腫瘍や粘膜下層が硬くなり(線維化)、ポリペクトミーやEMRでは切除が難しい症例に対しては、内視鏡用の電気メスを使用して粘膜下層を剥離して腫瘍を切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を用います。ESDによりこれまで外科切除となっていた大きな腫瘍も内視鏡で一括切除が可能となりました。大腸ESDは2012年4月から先進医療から保険適応になった最先端内視鏡治療法の一つで、当科でも2016年10月より大腸ESDの施設基準を取得し治療を行なっています。
当院では大腸ESDに関して独自のクリニカルパスを作成し使用しています。
消化器内科では主に切除不能進行再発大腸がんに対する化学療法を行っています。
2012年1月に保険適用となり、当院でも大腸がんイレウスに対する術前減圧目的(BTS;Bridge To Surgery)や緩和を目的とした手術を回避するため内視鏡によるステント治療を積極的に行っています。
(上行結腸がん・横行結腸がん・下行結腸がん・S状結腸がん・直腸がん)による腸閉塞に対してX線透視内視鏡補助下金属ステント留置術を行なっています。いずれも事前に造影CTを行い、穿孔(穴があくこと)や膿瘍がないことを確認し、外科医と相談の上で行っています。
※なお上行結腸がんや回盲部がんなどに対するステント治療は通常より困難である事が多く、ステント留置前の閉塞性大腸炎や虫垂炎が強ければ、ステント留置に伴う処置の影響が通常より強く出現するため、その適応については外科医と相談し緊急手術も含めて検討しています。また、肛門に近い直腸がんなどではステント留置後のしぶり腹症状が強くでる事がありこちらも適応を慎重に選んで行っています。
感染性腸炎とは、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染してさまざまな消化器症状を引き起こす病気です。原因は細菌(サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌など)やウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス(小児)など)や寄生虫(赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫など)と言われています。
突然発症する腹痛と、数時間以内に続く下痢、さらに血便という症状が相次いで認められます。発症する前に便秘や下痢などの腸管に強い緊張をおこさせるエピソードが先行していることが多いといわれています。大部分は一過性であり対症療法で改善治癒しますが、まれに再発する場合もあります。
また動脈硬化を基礎疾患とする高齢者で透析中の方、ステロイド治療を受けている方、血圧低下がありカテコラミン使用している方に壊疽型虚血性腸炎を発症する場合もあり、手術が必要となる事があります。
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)とは、原因不明の主として消化管に炎症をおこす慢性疾患の総称です。潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)とクローン病(Crohn’s disease: CD)の2大疾患からなります。いまだに根治療法は存在しておらず、再燃(症状が見られる状態)と寛解(症状が落ち着いている状態)を繰り返す難治性疾患です。両疾患とも稀少な疾患とされていたため特定疾患に指定されていますが、患者数は増加の一途をたどり平成25年度の厚生労働省特定疾患医療受給者証所持者数はUCで155,116人、CDで38,271人となっております。
主に大腸に炎症を起こして、びらんや潰瘍を形成する病気です。病変部位(病気が起こる場所)は直腸から始まり、大腸全体にまで広がることがあります。症状としては粘液便、血便、下痢や腹痛などがあります。
口腔から肛門までの消化管に炎症を起こして、びらんや深い潰瘍を形成する病気です。病変部位は口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位ですが、小腸や大腸が好発部位(病気が起こりやすい場所)です。症状として腹痛、下痢、血便、発熱、体重減少、肛門病変などがありますが、その他にも消化管以外に合併症を伴うこともあります。前述したように、UC・CD両疾患共に原因が不明であるため根治療法は確立されておらず、治療としては炎症のコントロールを行い、寛解の導入と維持をすることとなります。内科的治療としては、アミノサリチル酸塩剤、ステロイド薬、免疫調節薬、抗TNFα抗体製剤などの生物学的製剤、血球成分除去療法、食事療法などと多岐に渡ります。これらの方法を上手く組み合わせ、病気の重症度や罹患範囲(病変の認める範囲)を考慮して治療を行っています。
腹部膨満感・嘔吐・嘔気・排便排ガスの停止などの自覚症状を認めます。消化管の通過障害が原因で起こります。単純性・絞扼性・機能性に分類され、腸管減圧(イレウス管の挿入)・手術・対症療法などによる治療法があります。
消化管憩室とは消化管壁が消化管壁外に突出した状態であり、憩室による症状を伴うものを憩室症と定義されています。大腸憩室の大部分は大腸粘膜が固有筋層の抵抗の弱い血管貫通部を通じて壁外に突出し、腸管周囲の脂肪織に接する構造をとる後天性の仮性憩室とされています。憩室に糞便が詰まって炎症を起こすと憩室炎となり腹痛などの症状が出現します。まれですが憩室炎が悪化し穴が開くことがあり(穿孔)、強い腹痛を認める事があります。また憩室出血に関しては自覚症状のない血便を認めます。対症療法で改善することが多いものの、出血量が多いときは入院治療が必要な場合もあります。
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